建設現場の環境条件に適応し,トレーサビリティ確保を可能とする
RFIDによるコンクリート施工情報管理システム
施工時から施工後の維持管理に至るまでの情報を一元管理


概要
 多くの室内実験および現場実験により,各種のICタグの特性を評価することで,建設現場特有の環境条件に適応したRFID(ICタグやデータベースなど)を選定できるようにし,最適なシステムの構築が可能となりました.また,これまで主に施工時に利用されてきたICタグとその情報を,施工後も継続して管理者が利用できるようにすることで,コンクリート構造物のトレーサビリティを確保し,維持管理に活用できるようにしました.当社がこれまで開発してきた施工時のコンクリート品質管理システムと連携させ,施工時から施工後の維持管理に至るまで一元的な情報の管理ができる,施工から維持管理までを包含したシステムです.

* ニュースリリースでは,「ICタグによるコンクリート施工情報管理システム」としています.RFIDという言葉の認知度が低いため,あえてICタグという表記を使っています.本来の意味ではRFIDが正確な表現です.

【特徴】
1.建設現場特有の環境条件に最適なシステム構築
  • 各種のICタグの特性を評価することで,金属の有無,水の有無,ICタグとアンテナとの角度や認識距離などのパラメータごとに,環境条件に適応したICタグ(HF帯UHF帯)とアンテナ配置・形状・種類などを選定できるようになりました.これによって施工時,施工後ともに建設現場特有の環境条件に最適なシステムの構築が可能となりました(図-1).

図-1 建設現場特有の環境条件(金属,水,コンクリートなど)への適応


2.ICタグ情報連携による一元管理【施工時から施工後の維持管理まで】
  • 当社ではすでに,従来個別に管理されてきたコンクリート構造物施工時の各種情報を,ICタグを活用して施工時に一元管理するコンクリート品質管理システムを開発しています.今回あらたに,これらの施工情報を自動的に引き継ぎ,施工後の維持管理情報と併せて管理する「RFIDによるコンクリート施工情報管理システム」を開発しました(図-2).施工時および施工後の情報を連結し,RFIDによって一元管理することでトレーサビリティを確保し,維持管理に活用することができます.点検時には,情報端末を用いて,その場で情報を確認し,必要な情報はRFIDに追記することができます.施工・品質情報を保存したICタグを現場に設置することで,現地で構造物に関する情報を確認,追記するなどインターネットなどの使えない通信環境の悪い地点でも力を発揮します.

図-2 通信環境に左右されないRFIDによるコンクリート施工情報管理システム


【実験概要】
 建設現場特有の環境条件に対し,最適なICタグを選定できるよう,各種のICタグの特性を実験により把握・評価しました (図-3).

図-3 建設現場の環境下でのICタグの認証実験の様子と,使用したICタグの一例


 室内の良好な環境条件下(プラスチックへの貼り付け)では,@〜Cの一般的なICタグは3m〜9mという長距離での認識が可能ですが,金属や水(ペットボトル)の影響があると0m〜2mと認識距離が大きく低下します.D〜Fの金属対応タグとよばれるものの場合でも,その性能は違います.金属,水の両方の影響を受ける場合には,FのようなICタグを選択する必要があります. このような,多くの室内実験および現場実験を実施することで,建設現場特有の環境条件に最適なICタグ(HF帯やUHF帯),アンテナ配置・形状・種類などを選定できるようになりました(図-4).

図-4 ICタグの種類・貼り付け材料の組み合わせごとの認識距離(UHF帯のRFID)



主な適用範囲
  • コンクリート構造物のトレーサビリティ確保
  • コンクリート構造物の維持管理
  •    

Keyword RFID ICタグ トレーサビリティ 維持管理
2011年8月11日ニュースリリース
関連技術 ICTコンクリート打設管理システム
関連論文 1)築地功,原田進,東住也,滝波真澄,澤正武,松元和伸,松田浩朗:ICタグによるトラックミキサー
         の運行管理システム, とびしま技報,No.58,pp.95-96,2009.
        2)松元和伸,原島誠,松下慎治,大平信吾,小笠原剛:土木構造物へのRFIDの適用例
         , セメントコンクリート,No.749,pp.58-64,2009.
        3)松元和伸,阿保寿郎,松田浩朗:現場適用に向けたRFIDの基礎実験
         , 土木学会第65回年次学術講演会,Y-359,pp.717-718,2010.