のり面を生物の生息空間にする
切土のり面ビオトープ工法
 苗木を用いて切土のり面を樹林化する緑化工法



概要
切土のり面ビオトープ工法はのり面(法面)上に自然な樹林を創出する緑化工法です。のり面周辺地域の自然な植生の構成樹種の中からのり面に導入可能な樹種(乾燥に強い樹種)を選定し、その苗木を厚層基材吹付工との併用によってのり面上に導入することで緑化を行います。

施工後経過写真(同じ位置です。)

▲施工後3ヶ月(7月)

施工フロー図




▲施工後17ヶ月(9月)

▲施工後27ヶ月(7月)

▲本工法と従来工法(厚層基材吹付工法)の比較。施工後61ヶ月(6月)。
下二段が本工法、その上が従来工法。大きく違うことが見た目でも分かります。


特長
  • 周辺に生育する自然な樹木(自生種・郷土種)を用いた多様な種類と構造を持つ樹林がのり面(法面)上に創出できます。
  • のり面植生は緑化後、時間の経過とともに遷移し、次第に自然植生に近づいていきます。
  • 多様性の高いのり面植生を創出できるので、多様な小動物が生息できるのり面となります。
  • 導入樹種の選定は、のり面周辺地域の植生調査を実施し、その解析結果に基づいて行います。
  • コンテナ(ポット)苗木をのり面に置きその上に砂質系厚層基材を吹き付けることにより樹木を導入します。
  • この施工方法により、苗木を使用する工法でありながら、厚層基材吹付工と同設備で施工できます。
  • 上記の樹種選定方法と基材配合に、厚さわずか数cmの基材でも苗木の生育を可能にする弊社のノウハウがあります。



主な適用範囲
  • 硬質切土のり面(法面)の樹林化(勾配 1:0.5以下)
  • 景観や周辺生態系等、自然環境の保全が要求される切土のり面の緑化
  • 地山が岩の場所でも20cm程度以下の間隔で亀裂があれば適用可能
     

主な実績
  • 国土交通省北海道開発局留萌ダム(北海道)
  • 日本道路公団中央自動車道(改築)新岩殿トンネル(山梨県)
  • 鳥取県円谷トンネル(鳥取県)
  • 建設省東北地方建設局摺上川ダム(福島県)
  • 建設省関東地方建設局石小屋ダム(神奈川県)
■のり面緑化工法の順調な生育を確認

のり面緑化工法については、初期の物件では2006年春季で施工後約10年が経過しました。10年が経過した現在では目標とした多様性の高い木本群落が形成され、より一層の自然回復に向けて進んでいることが確認されました。

当該工法の初期の実績として、福島県にある摺上川ダムののり面(建設省東北地方建設局発注、平成9年施工)および神奈川県にある宮ヶ瀬副ダム(石小屋ダム)ののり面(建設省関東地方建設局および神奈川県企業庁発注、平成8〜9年施工)が挙げられます。これらののり面では以下の写真に示すように、旺盛に植物が生育しています。高木性の樹種(摺上川ダムではコナラ、アカマツ等、石小屋ダムではアラカシ等)は樹高4m程度に成長し、低木性の樹種(摺上川ダムではタニウツギ、アキグミ等、石小屋ダムではタニウツギ、ヤマハギ、ナワシログミ、ノイバラ等)は樹高2m程度で旺盛に繁茂しています。導入した多種類の樹木がそれぞれ成長したことで、自然に近い見た目となっています。  当該工法の近年の施工事例としては、北海道にある留萌ダム(北海道開発局発注、平成14年施工)ののり面が挙げられます。施工後4年が経過しましたが、こちらでも苗木が毎 年の積雪に耐えて成長しています。

  • 石小屋ダム(宮ヶ瀬副ダム)のり面の様子

  • ▲左:施工直後(4月)

    ▲右:施工後10年(10月)

    ▲ 下の段奥側は施工後10年,それ以外は施工後9年(10月の状況)

    ▲下の段右側は施工後1年,それ以外は施工後4ヶ月(7月の状況)


  • 摺上川ダムのり面の様子

  • ▲施工後7年(8月)の状況

    ▲同 拡大

  • 留萌ダムのり面の様子

  • ▲ 施工後3年(8月)

    ▲施工後3年(8月)

    ▲施工後4年(10月)


    Keyword   景観 法面緑化 生態系 自然環境保全 郷土種 自生種 ビオトープ
    関連資料   切土のり面ビオトープ工法リーフレット
    関連技術   表土土羽土工 表土吹付工法
    関連論文   数件